幕末から明治にかけての37年間の武家の家計簿。 しかも加賀藩の御算用者として勤めていた家の記録で、その内容は完璧である。 そこから見えてくる当時の社会状況と歴史の流れを分かりやすく読み解いている。 この家計簿を残した「猪山家」の台所事情は、当初破綻寸前だった。 長引く「江戸詰め」による二重生活、少ない手当。借金はかさみ、数年後には破 …続きを読む
歴史・ノンフィクション
徳川四代将軍・家綱の時代、武士を中心とした改暦のプロジェクトが起ち上がった。その中心人物として白羽の矢を立てられた碁打ちの渋川春海と、改暦に情熱を注いだ幕閣、学者たちの物語である。 暦は、天体の動きを正確に予測したうえで作られる。 この時代、地球は太陽の周りを正円に沿って動いていると信じられていたが、春海は観測記録と算術とで、楕円を …続きを読む
―ギリシャ・トルコ辺境紀行 ギリシャ正教の聖地・アトス半島と、トルコの国境沿いを車でぐるりと回る旅の2本立て。以前読んだ村上春樹のヨーロッパ紀行【遠い太鼓】が面白かったので借りてみた。 予定調和を期待する観光旅行とは違う、その土地だけの空気に触れるための旅。 ギリシャのアトスは、山と断崖絶壁の半島。修道院ばかりが20もある聖地だ。 …続きを読む
―あなたの山登りは大丈夫か 第1章 山の遭難小史 第2章 統計が語る現代の遭難事情 第3章 救助活動の現場から 第4章 遭難事故のリアリティ 第5章 なぜ増える安易な救助要請 第6章 ツアー登山とガイド登山 「遭難ライター」とも呼ばれる羽根田治氏の新刊。 近代登山の歴史と傾向が分かりやすく解説され、山を舞台にした本・映画なども網羅、 …続きを読む
ジョーカー・ゲーム/幽霊/ロビンソン/魔都/XX(ダブル・エックス) 第二次世界大戦前、日本陸軍のなかに秘密裏に設立されたスパイ養成学校「D機関」。 優秀な若者を難解な試験によって選抜し、スパイとして鍛え上げ、影の存在として世に送り出す。発案者の結城中佐自身も、かつて優秀なスパイとして暗躍していた過去を持つ。 影の存在として生きるこ …続きを読む
【のぼうの城】と同じ忍城合戦記から題材をとった歴史小説。 西日本を手中にした豊臣秀吉が、小田原の北条氏を倒すべく大軍をひきつれて関東に進出してきた。 大軍勢で押してくる豊臣勢に、関東勢は次々と落城を余儀なくされていく。 北条配下の忍城には、秀吉の懐刀・石田光成の率いる軍が押し寄せる。 光成は兵力を頼みに、落城には二日と半、と宣言。と …続きを読む
西日本一帯を制覇した豊臣秀吉が、その勢いをかって小田原の北条氏制圧に乗り出した。 現在の埼玉にあった忍城も、この戦いに巻き込まれてしまう。 忍城は、戦乱にもまれ続けてきた小規模な城。 その城が、たった500騎の兵力で、石田三成率いる25000の軍隊を迎え撃つこととなってしまった。 圧倒的な軍事力の差、いったいどうやって戦うのか。 地 …続きを読む
江戸時代後期、槍ヶ岳の開山に尽くした播隆上人の生涯。 米問屋の手代・若松は、愛妻・おはまとの幸せな生活を送っていたが、百姓一揆にまきこまれ、おはまを自身の手で過って殺してしまう。 間もなく一揆の荷担者として国を追われた若松は出家し、修行僧・播隆として、おはまの最期の姿に苦しめられながら、許しを請い続ける。 そして、いつしか槍ヶ岳の頂 …続きを読む
遺族に代わり、故人の部屋の片づけを引き受ける専門業者である著者が、 実際に体験した46の話。死後数時間から数十日まで、著者にくる依頼は、 現状や昼夜を問わない。そこには、様々な人間ドラマが隠されている。 「死後の葬式代くらいは残しておかないと」 とは良く聞く話ですが、実際は 遺品の整理や部屋の処理等の費用も必要です。何より、死後数日 …続きを読む
羽根田治氏のドキュメント【道迷い遭難】 【気象遭難】に続く3冊目。 表紙も南アルプス・大キレットの鋭い稜線。おそらく私には縁のない世界が舞台の中心。 少しでも気を抜くと踏み外す細く険しい登山道。そもそもこれを道というのだろうか? 足を滑らせたら、そこから命の保障のないジェットコースターが始まる。 6つのドキュメントの中で、生きて還っ …続きを読む
実話で、死亡という結末はつらい。生還というタイトルで、安心して読めました。 日帰り登山のはずが、17日間山を彷徨う、志賀/岩菅山の話もすごかったが、 この中で印象深かったのは、福島/飯森山での話。 あやふやな情報から、沢に向かって下山をしてしまうおじさん。 案内図に「沢コース」として書かれていた大桧沢は、本格的な沢登りのルート。 難 …続きを読む
ードキュメント山岳遭難捜索ー 遭難事件を扱ったもの、3冊目。 前2冊が遭難そのものを扱ったのに対して、この本は3人の登山者が下山していない、という一報から、遺体発見、さらに遭難事故の検証までを追ったドキュメンタリー。 遭難した3人は「のらくろ山岳会」所属のいずれもエキスパート。 冬の槍ヶ岳登頂に向け、入念な準備のもと、年の暮れに山へ …続きを読む
1989年から2002年にかけて起きた、気象を原因とした7件の遭難事件を、取材によって再構成している。 突風、落雷、暴風雨、暴風雪など。 特に印象に残ったのは、1989年夏に北海道・トムラウシ山で起きた、暴風雨によるもの。 今年7月に起った登山ツアーでの遭難事故と、同じ季節・同じルート上での遭難事故であり、死亡原因も低体温症によるも …続きを読む
関東周辺の山で2000年前後に起った7件の「道迷い遭難」を、当事者からのインタビューによって再現している。 正規の登山道から、ちょっとしたミスではずれる… あれ?おかしいと思いながら、進んでしまうおそろしさ。 焦燥、疲労、、、まだ正気なのだと信じながらも、幻覚や幻聴が起き、誘い込まれるように、さらに危険な山の奥深くへと迷い込んでゆく …続きを読む
1960年代、小学3年生から五年間、共産党員の子弟として、プラハのソビエト学校に通った著者。 多感な時期を過ごした級友3人との思い出と、東欧の共産主義政権が崩壊していくなか、ようやくたどり着いた1990年代の3人の消息。 導入のリッツァのエピソードは、いかにもローティーンらしいHネタから始まる。 ありがちなオコサマHネタに興味津々の …続きを読む
明治39年、日本地図は完成まで、残すところ、わずかとなっていた。 残された空白地帯は、未踏の劔岳山頂を含む、北アルプス立山連峰一帯。 困難を極めるこの一帯の測量に、陸軍測量官・柴崎芳太郎が任命された。 測量に要する作業は、現地の下見、三角点を設置する場所の下見と選定、設置のための材料の運搬、点上の櫓の建設作業、三角点の埋設、、、そし …続きを読む
大きな馬蹄形、コンクリートのオブジェのような家。 家の内部、ゆるやかなカーブの白い壁には、淡い光が不思議な影を作り出す。 1976年に建てられ、昭和の現代建築の代表とされた住宅。 その住人であった3人の母娘へのインタビューと、インタビューを見た建築家の感想。 ご主人を看取った設計当時の施主の感情そのままの家は、20年後、解体された。 …続きを読む
〜人はいかにして狂っていくのか?〜 犯罪者の心理を、精神科医の春日氏とミステリー作家の平山氏が 辛口の対談で掘り下げていく。 熱く語る平山氏に、春日氏が冷静に受け流す。なんとも絶妙なコンビ。 「面倒くさい」が嵩じて判断力が曖昧になり、あげく極端に自己中心的になっていく狂人たち、、、 そんな話を読んでいるうちに、正常だと思っている自分 …続きを読む
神霊と生きる人々 心霊現象に関心を持つ11人の方々へのインタビューをまとめた、 【心霊づきあい】の取材と、ほぼ平行して行われたという本書は、 神霊の世界に関わる9人の方々へのインタビューです。 2冊を比較するなら、まさに心霊:神霊という感じです。本書の方が先に 出版されたようなので、逆に読んでしまいましたが、全く問題ナシです。 …続きを読む
11人の作法 自身の「見る」と他者の「見る」に、差異はあるのか? 占いや心霊現象そのものよりも、それらに関わる人間に興味を 持った筆者が、心霊現象に関心を持つ11人にインタビュー。 皆さまの作法は興味深いのですが、物足りない感は否めません。 特にトップバッター「あなたの知らない世界」の監修・コメンテーターを されたいた新倉イワ …続きを読む
御巣鷹山事故の事故を受け、国民航空のトップが刷新される。 総理大臣からの懇請をうけて、新しく会長となった国見は、空の安全の確立を誓うが… 全巻読み終わって、小説としての評価は難しいと感じた。 山崎氏は、膨大な取材を行い、事実に基づいて創作したと明言している。 また、登場人物の多くに実在のモデルがいることもあり、 著者が、あらゆる部分 …続きを読む
東京航空交通管制部のレーダーが異変を知らせる、最初の場面。 圧倒的な臨場感を感じさせる文章に、さすがだな、という気持ちに混ざって、 当時ニュースを見ながら感じた恐怖感がよぎる。 「事実に基づき、小説的に再構成した」と、著者の断り書きがある。 異常発生から墜落までの経過の分析、事故後のボーイング社の対応など、 改めて知る部分も多かった …続きを読む
国民航空NALのエリート社員・恩地元は、 労働組合の委員長をなかば押し付けられるかたちで任命された。 空の安全を確実なものにする… 正義感の強い恩地は、それが実現できる職場環境を要求し、ストを決行。 それが社のトップの反感をかうこととなり、中近東のカラチ・テヘラン、ついに同社の乗り入れがないアフリカ・ケニアのナイロビまで、まるで流刑 …続きを読む
江戸時代中期、世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた、華岡青洲。 その成功の陰には、青洲の妻・加恵と姑・於継の確執があった。 2人は、麻酔薬が人体での実験をするに到った時、死を覚悟の上で、薬を飲んだ。 加恵と於継を中心とした、華岡家の女性たちをめぐる物語。 しっかり者で切れ者、美貌の姑・於継。 そんな彼女でも、この時代には、夫・息 …続きを読む
中国清王朝の末期、貧しい「糞拾い」の子・春児(チュンル)は、 世界のすべてを手にする昴の宿命をもつ、というお告げを占い師「太白白」から受けた。 同郷の青年・李文秀も、やはり「太白白」から、皇帝に仕えることになる、と知らされる。 疲弊していく大国の末期、度重なる列強各国からの干渉、時代が大きく変化していく中で、 春児・李文秀の転々とし …続きを読む
著者は、1979年生まれのイギリス人。 映画「レインマン」の自閉症のお兄さんと同じく、サヴァン症候群の患者。 5時間で円周率を22,514桁(!?)まで暗証するという、ヨーロッパ記録を持つ。 特異なまでの記憶力と計算能力・言語能力をもちながら、 日常生活では、ささいなことからパニック状態になり、支障をきたすことがあるという。 彼の幼 …続きを読む
東京地裁での公判を傍聴しつつ、裁判所の人間模様を楽しく観察。 裁判官・検察・弁護士・被告・原告・家族・傍聴マニアなどなど、一癖ある人たちが登場。 ただ、重い裁判もあって、おちゃらけた感想はどうかな、と思う場面も… ありそうでなかった初心者向け裁判傍聴の手引書として、○。 地裁についてから、どこへ行くのか、どうやって公判予定を知るのか …続きを読む
この本は、先日書いた【エンデュアランス号大漂流】のもうひとつの物語。 20世紀初頭、人類初の南極大陸横断を目指した、イギリスの探検家アーネスト・シャクルトンは、 この計画のために、もうひとつの船で「ロス海支隊」を南極大陸に上陸させた。 「ロス海支隊」上陸組10名は、シャクルトン率いる本隊ために、 食料・燃料などの補給基地を、極点近く …続きを読む
第一次世界大戦開戦直後、イギリスの探検家 アーネスト・シャクルトンは、 人類初の南極大陸横断を目指し、帆船「エンデュアランス号」で出発する。 しかし、南極大陸を目の前にして、エンデュアランス号は、氷に行く手を阻まれ、 半年後、身動きのとれないまま、氷の圧力で船体を破壊され、あえなく沈没。 南極大陸横断どころではない。 助からなければ …続きを読む



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