【氷壁】井上靖

氷壁
穂高連峰・前穂の東壁。小坂と魚津、ふたりの若い登山家が冬期未踏のルートを征服するべく、凍りついた岩壁を登っていた。一瞬。トップをとっていた小坂が落下、後ろでひかえていた魚津の視界から消えた。ふたりをつないでいたはずのナイロン・ザイルをたぐると、ザイルは無惨に切断されていた。
親友を失った悲しみ、切れないはずのナイロン・ザイルが切れたことに対する世間の疑惑。
残された魚津の苦悩の日々が、いくつかの視点から描かれていく。


井上靖が、上高地・徳沢園にこもって書いたという山岳小説。
なるほど山の風景が美しく描かれているけれど、、、舞台はほとんど都内のような。
山というより、魚津をめぐる色々な人間関係が面白い。
特に小坂が横恋慕していた八代美那子と、彼女の二十七歳年上の夫・教乃助との一種独特の感情のやりとり。井上靖はこういう繊細な感情の描写がウマいなあ。子どものころ土蔵でつちかった観察眼がいきているんだろうな。
ラストは思いきりロマンチック。山男のロマンと言うやつなのかしらん。
(2009.11月29日読了)

関連記事 : 文学・その他小説井上靖
comment
2009年12月16日 00:51

あー、これ、読みたいけどまだ読んでないんですよね。
ちょっと前に、NHKでドラマ化されたでしょ。
見た、というほどちゃんと見てはいなくて、時々つけっぱなしにしていた、というぐらいなんですが・・・(だから、誰が出てたかも思い出せないんですが)。
井上靖さん、最近とんとご無沙汰してます。
いや、もともと歴史モノをほんの数冊しか読んでないかな・・・(流行った頃に^^;)。

 たこΩ
2009年12月16日 23:22

Mikiさん、こんばんは!
私も見損ねちゃったんですよ、、、ドラマ。
井上靖、歴史モノは「風林火山」しか読んでないのです。
自伝の「しろばんば」から始まる洪作くんシリーズは気に入って読んでいたのですが、、、
井上靖は、どうしても壮大なドラマより、日常的なちょっとしたところを書くのがうまい印象があって。
でも、世間の評価はそっちじゃないんですよねー。
うーん、なんでなんだろ。

2009年12月17日 00:15

あ、「しろばんば」のシリーズですか。うんうん。
あれ、たぶんその1冊目「しろばんば」しか読んでまへん。
私が読んだのは、「天平の甍」とか「額田女王」とか「本覚坊異聞(漢字違うかも^^;)」あたり。
あと、もう数冊読んだと思うんですが。
たぶん、世間一般の高い評価はこの辺りの作品群ですよね。
ひと頃、「ノーベル賞を待っているらしい」とか言われたりして。
なんか、井上靖氏の人物像って、シルクロードつながりなせいか、先日亡くなった平山郁夫氏とかぶります・・・。

 たこΩ
2009年12月17日 01:20

「天平の甍」とか「額田女王」とか「本覚坊異聞」…
気になりつつも、読むチャンスをずるずる逃しています。
このあたりを読めば、世間の評価との溝が埋まるかも!?
「ノーベル賞」の噂があったとは、ちょっとびっくりでした。
もしかして「しろばんば」で?(←ワタシ的に傑作 ^^;;)
平山郁夫氏逝去は、なんだか寂しかったです。
まだまだお元気で活躍してほしかったのに。


ところで、先日のMikiさんのブログでの話題の続きなのですが、、、
そうですよね、三島由紀夫と川端康成って同時代の作家ですものね。
お互いになにか意識しあうものがあったのかも。
あれからとても気になりだして、来年は例の2冊を「きちんと読もう」と決意!しましたよ!

2009年12月18日 00:29

実は、例の2冊、今、図書館から借りてきて手元にあるんですよ。
せっかくたこさんに教えて頂いたから、セットで読もうかな〜と思ってるんですが、そう思いつつ、また畠中恵さん読んでるしっ^^;
なんか年末でバタバタしてるし、読めるかな〜。

ところで、気づけばこちらのブログを私のブログにリンク表示させていただいてなかったんですが、してもよいですか〜?

 たこΩ
2009年12月18日 15:54

おおっ!早速ですね!
畠中恵さん、明るそうな印象で、面白そうですよね。
いつか暗くてグロテスクすぎるものを読んで気が滅入った時にと、思っております^_^
「みずうみ」はわりと妙な小説なので、「なんだこりゃ」となってしまいましたら、お許しくださいませっ
いえ、きちんと読むと深い意味があるのでしょう、きっと。。。


リンクの件、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします!
当ブログも、そのへん充実させねば、、、

 シカフ
2009年12月21日 21:24

lazyMikiさん、今晩は。ご無沙汰しております。
リンクの件、ありがとうございます。宜しくお願いします。

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