【生還―山岳遭難からの救出】羽根田治

生還―山岳遭難からの救出
実話で、死亡という結末はつらい。生還というタイトルで、安心して読めました。


日帰り登山のはずが、17日間山を彷徨う、志賀/岩菅山の話もすごかったが、
この中で印象深かったのは、福島/飯森山での話。
あやふやな情報から、沢に向かって下山をしてしまうおじさん。
案内図に「沢コース」として書かれていた大桧沢は、本格的な沢登りのルート。 難所なのだ。もちろん一般ルートでもなく、下ることもできない。
苦戦を強いられながら、どうにか下ってゆくが、ついに下ることも登り返すこともできなくなる。 そこで救助を待つことを決め、ときどき現れる幻覚に悩まされながら、待ち続け…


この本の中でも、救出後、もう一度現場に戻って自分の行動を検証しようとする人と、それを拒む人が出てくる。
このおじさんは、検証しようとするタイプ。 おじさんは、遭難の翌年、飯森山沢開きに応募して現場にもどろうとしている。 命からがら還ってきた沢。 おじさんは、何を見て何を感じるんだろう。


慎重な人でも、ふとしたことから、抜けられなくなる山。
ひたすら生き延びることだけを信じる人たち。 もちろん運の良さもあるけれど、生きることに集中してゆく精神力がスゴい。 イザというとき、私もそんな火事場の馬鹿力を発揮できるのでしょうか…
(2009.10月25日読了)

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