【華岡青洲の妻】有吉佐和子

江戸時代中期、世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた、華岡青洲。
その成功の陰には、青洲の妻・加恵と姑・於継の確執があった。
2人は、麻酔薬が人体での実験をするに到った時、死を覚悟の上で、薬を飲んだ。
加恵と於継を中心とした、華岡家の女性たちをめぐる物語。


しっかり者で切れ者、美貌の姑・於継。 そんな彼女でも、この時代には、夫・息子の陰で内助の功を発揮するしか自分を確認する方法が無い。 それが麻酔薬の実験に自分の体を差し出す動機になり、嫁の加恵は否応無くそれにのせられてしまう。


歴史小説を読んでいると、男性作家は英雄を描こうとし、
女性作家は起きた事実を解明しようと書いているように感じられる。
この話の中でも、華岡青洲は英雄ではなく、主人公の2人の女性も然り。
登場人物の心理が、今、隣にいる人であるかのように、なまなましい。


加恵の小姑・小陸の、病床で加恵に残した言葉、
「それは ねえさんが勝ったからやわ」という最後の一言が、後を引きます。
しかも、医者・青洲の性格の裏の裏まで分析している… 小陸はすごいわ。
(2008.9月21日読了)

comment
2008年10月10日 22:43

たこさん、こんにちは!
これ、とても懐かしい。
ずい分前に読んだのですが、その後、TVドラマなどでも見たせいで、いまだに印象が強く残っています。

結局は嫁が勝つ。
それが、光りを失ったからこその勝利だというのが、皮肉というか残酷というか、複雑でした。
そして歴史に名を残すのは華岡青洲だけであって、加恵や於継はその妻や母としてのみ・・・。
そういう女性たちに焦点をあてて描ききるところが、筆力ある女流作家ならではだな〜と思います。

 たこΩ
2008年10月11日 01:07

lazyMikiさん、こんにちは〜!
加恵がこの勝利(?)をどう思っていたのか。
複雑な思いを残すラストでしたね。
この本、あんまり古かったせいか、アマゾンに画像がなかったのですよ;; でも、内容は全く古さを感じさせるところがないですね。
TVドラマは、あのゆったりした方言が印象的でした。
とはいえ、加恵と於継の感情のやりとりは、ゆったりどころではありませんでしたが…
有吉佐和子、次は【和宮様御留】を読もうかと思っています。

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